日本心理学会第77回大会 シンポジウム
2013年の日本心理学会大会は北海道医療大学心理科学部を準備委員会として札幌コンベンションセンター(札幌)で開催されました。
当研究会は会期初日の午後最初のセッションにシンポジウムを開催し、多くの方にご参加いただくことができました。
今回は抗ストレスをPNEIの観点から議論するという挑戦的な内容を企画しましたが、有意義な議論ができたのではないかと思います。
ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
はじめに、当研究会副幹事で本シンポジウムの企画者である堀内先生(北海道医療大学)から、シンポジウムの趣旨と話題提供の先生方のご紹介がありました。
現在までの抗ストレスの効果研究は質問紙法が多用されており、抗ストレス効果を生理指標を用いることによって客観的に証明するとともに、生物学的メカニズムを解明することの必要性が述べられました。
「唾液中バイオマーカーを用いた健康心理学的研究」
最初の話題は、岡村先生(久留米大学)からPNEI指標を用いた3つの研究(ストレスマネジメント、カップスープによる効果、ワークストレスと幸福感)をご紹介いただきました。
有用であると言われているPNEI指標も、使い方次第で適切に評価できないため、指標の特徴を知った上で利用することの重要性を指摘いただきました。
「ストレス反応の動力学」
野村先生(長岡技術科学大学)は、工学者の立場からPNEI研究を精力的に行われています。
ストレス反応をシステム論的に捉え、「評価」から「制御」へという挑戦的なご研究をご紹介いただきました。
「抗ストレス効果を科学する」
加藤先生(札幌医科大学)からは、10年に及ぶご自身の研究についてご紹介いただきました。
加藤先生のご専門は心臓血管精神生理学で、心臓血管系のメカニズムから新たな指標を見出し、測定機器をも開発されました(特許出願中)。
測定方法としての生物学的妥当性の重要性を多くの実験結果から示していただきました。
指定討論
最後に、当研究会の委員の一人である山田冨美雄先生(大阪人間科学大学)から、全体を通してのご感想と、各演者に対するコメントと質問をいただきました。山田先生は先駆け研究者の一人として、我が国のPNEI研究を牽引されてこられました。最近ではストレスマネジメント分野でのご研究を精力的に行われております。
討論の最後には、登壇者に対してPNEI研究の今後と発展についてという大きなテーマを投げかけられ、若手研究者への期待の大きさが垣間見られる一幕もありました。