日本心理学会第74回大会 シンポジウム

精神神経内分泌免疫学研究の応用  −臨床・ストレス予防への利用−

企画者    名古屋大学  木村 健太
企画者    名古屋大学  大平 英樹
司会者    名古屋大学  木村 健太
話題提供者    藤田保健衛生大学  坪井 宏仁
話題提供者    久留米大学  岡村 尚昌
話題提供者    (独)労働安全衛生総合研究所  井澤 修平
指定討論者    大阪人間科学大学  山田 冨美雄
指定討論者    徳島大学  佐藤 健二

  1980年代の成立以来、精神と内分泌・免疫系の相互作用を科学的に解明することを目的とする精神神経内分泌免疫学(Psycho-neuro-endocrino-immunology: PNEI)は、心理学、医学、神経科学にまたがる総合領域として急速な発展を遂げてきた。しかし、心理活動による内分泌・免疫系の調節に関する基礎的な知見が蓄積されつつある一方、それらの知見をどのように実社会へ応用するべきかについては議論が十分されていない。本シンポジウムではPNEI研究領域における最新の研究成果の発表を通してPNEI研究の応用可能性について議論する。
  シンポジウムでは、まず井澤修平先生が日常場面におけるストレスと唾液中コルチゾールとの関連についての研究を発表することで、心理ストレスによる内分泌系の調節や検体分析の方法論など基礎的な事項について議論をする。次に、岡村尚昌先生は、女性大学職員の勤務日と休日の起床時コルチゾール反応の違い、摂食障害患者の治療前後のコルチゾール値を発表することで、実際の臨床場面におけるPNEI研究の応用可能性につて議論する。さらに、坪井宏仁先生は、精神的ストレス、抑うつ度と身体的健康度の関連について免疫系、酸化・抗酸化、脂肪酸代謝など幅広い生理指標を用いた研究を発表することで、心理的な状態と生理的な状態との関連について医学的な見解より考察する。これらの話題提供に対し、応用的な視座より長くPNEI研究を行ってきた山田冨美雄先生、臨床心理学をご専門とされている佐藤健二先生より指定討論をいただくことで、PNEI研究の基礎的な知見をどのように実社会へと還元していくべきか統一的な見解の成立を目指して議論する。